私が慢性腎不全の患者様の食事指導していて感じたこと~水分・塩分について~
私たちは毎日2リットルちかい水分を摂取していると思います。3食の食事と一緒にお茶を飲み、休憩にコーヒーを一杯~二杯、水分補給として合間にお茶やジュースなども飲んでいます。この記事を読まれているあなたも同じくらい飲まれているのではないでしょうか。
私たち健常者は24時間腎臓が働いてくれているため、余分な水分は尿として排泄できますが、透析をするようになれば2~3日に1回しか余分な水を出すことができません。
本やネット・テレビで、患者が機械につながれてベッドに横たわった画像をよくみかけます。私は学生のころ、献血みたいに寝ているだけで透析は終わるんだと思っていました。
でも、実際はそんな甘いものではありません。身体中の水分を、機械を使って除水するため、体重増加も制限させられます。つまり、飲める水分量も決められてしまうわけです。
人工透析で意識をなくす人も
透析中に血圧が低くなり意識をなくす人や、透析終了後食事をしたとたん気分不良で嘔吐するなど、体重増加が多ければ多い人ほど透析後はきつそうでした。
冬場は気温が低いのでのどの渇きも少なくなりますが、真夏に水分制限の指導をするのは本当にかわいそうでした。
透析をすると食事だけではカリウムやリンを抑えることが徐々にできなくなり、薬にも頼らなければいけません。食後や食前に飲む薬もそれだけでお腹がいっぱいになるほど飲む患者様もいらっしゃいます。
透析患者の摂取できる水分量は、前日の尿量プラス500mlです。あなたは一日どれほどおしっこがでますか?尿量が測れるうちはよいですが、透析が長くなればなるほど尿は出なくなっていきます。
それは、本来腎臓の仕事を週3回の機械が行うため、だんだんと腎臓が怠けてくるためです。無尿になってしまえば、ペットボトル1本分の水分しか摂れません。
水分さえ抑えれば、塩分をとってよいのかというとそうでもありません。水分と塩分は相互作用のため、どちらかだけの制限ではうまくいきません。
ラーメンを食べた後、たくさん水を飲んでしまう
ラーメンを食べた後いつもより多めに水やお茶を飲んだりしませんか?
人間の身体は、簡単にいうと0.9%の食塩水でできています。
塩は青色だとします。
コップに0.9%のうすい水色の食塩水があるとします。この薄い色が基本ベースです。これに青色の塩をたくさんいれたら濃い水色の食塩水になってしまいます。
ベースのうすい水色にするには、水を加えないと元通りにはなりません。
そうすると、水を加えた分の水分が増え、食塩の量が多ければ多いほど水を必要としてしまいます。腎臓の機能が正常であれば、少しずつ尿として排泄し元の量に戻りますが、透析をするようになってしまえば機械に頼らなければいけません。
塩分を抑えるには調味料を計らなければいけません。計ることが食事制限の基本です。
1日6~7gの塩分量は想像以上に薄味です。
おいしく食べるにはいろんな工夫が必要になってきます。さらにウィンナーやかまぼこなど、食品に塩分が含まれているものもあります。
食品に含まれている塩分も考慮しながら塩分を抑えるのは、ご家庭で作るのは限界があります。
「めんどくさい」とか、「どうせ先は長くないから、食べたいものを食べて死んだほうがいい」とか、投げやりにならないでください。あなたが思っている以上に透析するのは大変です。
食事制限をしっかりできるように、管理栄養士がそういった食品の塩分も計算した料理を宅配食事サービスがあります。腎臓病食専用の献立・メニューなので、安心して食べることができます。
腎臓の機能が残っている今ならまだ間に合います。一日一食からでも宅配食を試してみてはいかがでしょうか。それが一番賢い食事制限の方法です。