膵臓病の主人公が登場する小説がベストセラーになったりなど、健康番組でも取り上げられることの多い膵臓ですが、「膵臓という臓器は知っているけど、どんな働きをするのか知らない」という方も多いのではないでしょうか。
「沈黙の臓器」と言われる膵臓の役割とは?
膵臓はいろんな消化酵素やホルモンを分泌しており、代表的な働きが2つあります。
1つ目は「脂質を消化する」働きです。膵臓からリパーゼという脂質消化酵素を分泌していますが、こちらの分泌が悪くなると、消化不良を起こしてしまいます。
2つ目は「血糖値のコントロールをするホルモンの作る」働きです。インスリンなどの血糖コントロールに関わるホルモンは膵臓で作られています。そのため、膵臓の機能が低下すると、糖尿病を併発してしまう場合があります。
普段の食事で、肉類や揚げ物などをたくさん食べた後に、急性すい炎を発症することもあります。これは、脂肪分を大量に摂取したことに起因します。
また女性では、胆石に起因する急性すい炎もみられます。胆石は、脂肪分の多い食事の食べ過ぎなどによって、胆汁が石のように凝固したものです。その胆石がすい臓の出口にふたをすることで、すい炎を発症します。
膵臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、膵臓が機能低下していても、自覚症状が少なく気付きにくいと言われています。
健康診断や血液検査等で数値が少し悪くなってきたという方は、自覚症状がない場合でも放置せず、適切な食事を心掛けてください。
アルコールと脂質は膵臓の大敵!
膵臓病の原因の多くは「お酒の飲みすぎ」と言われています。アルコールを大量に飲むと、すい液の分泌がとても活発になります。
その状態が続くと、膵臓が膵液でいっぱいになり、自己消化を起こし膵臓を傷つけてしまいます。男性の急性すい炎では、アルコール性のタイプがほとんどです。
まずは、禁酒することから始めましょう。
また、膵臓が悪くなってしまうと、脂質を分解する酵素が上手く分泌できなくなるため、脂質を控えた食事にしましょう。
肉や魚を選ぶ時は、鶏のささ身や、タラなど脂質が少なく淡泊なものを選んで調理してください。炒めものや揚げ物よりも茹でたり、蒸したりする方が、より脂質が控えることもできます。
「たまには揚げ物も食べたい!」という時は少量の油で炒めたパン粉を食材にまぶし、オーブンで加熱します。すると、脂質は少ないながらも、揚げ物のようなサクッとした食感に仕上がりますよ!
揚げない唐揚げという、商品も販売されています。是非試してみてください。
膵臓病といっても、原因や症状によって食事療法も異なりますので、少しでも疑問があったらかかりつけ病院の主治医や管理栄養士に相談してみて下さい
すい炎と膵臓がん
膵臓の病気ですぐに思い浮かぶ、膵臓がんではないかと心配になってきます。膵臓がんは、急性すい炎のような激痛になる割合は少なく、みぞおちから背中にかけての鈍痛などを発症するのが一般的です。
膵臓がんの中でも症例が多いすい頭部のがんは、黄疸の症状が出ます。さらにインスリンの分泌が悪化するため、糖尿病を併発することもあり、糖尿病のの検査の過程で膵臓がんが見つかることもあります。
膵臓がんは、近年30年間で死亡者数が4倍にも膨れ上がっているので、膵臓の機能低下の症状が続く時は早めに病院で検査を受けてください。